遺伝性乳がんとは


HBOCの特徴1-4)

乳がんや卵巣がんなど、病気の発症に関連する遺伝子変異を「病的変異」といいます。HBOCの方では、BRCA(ビーアールシーエー)1またはBRCA2という遺伝子の病的変異が、親から引き継がれることで起こります。BRCA1/2遺伝子は、男性・女性にかかわらず、誰もが持っている遺伝子で、傷ついたDNAを修復して細胞のがん化を防ぐ働きがあります。このBRCA遺伝子に病的な変異が親から引き継がれると、乳がんだけでなく卵巣がんも発症しやすくなることがわかっています。ほかにも、比較的若い年齢で乳がんを発症するなどの、一般の乳がんとやや異なる傾向があることが知られています。

HBOCの方に認められやすい傾向

  • 比較的若い年齢で乳がんを発症している
  • 両側乳がんである
  • 男性乳がんである
  • 血縁者に乳がん、あるいは、卵巣がんになった人がいる
  • 卵巣がんを発症している

山内英子 編. 実践!遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブック. メディカ出版, p20, 2017. より改変

親から子どもへ引き継がれる確率3)

BRCA遺伝子の病的変異は、男女を問わず、親から子どもへ50%(2分の1)の確率で引き継がれます。
ただし、BRCA遺伝子に病的な変異があっても、すべての人が乳がんや卵巣がんになるわけではなく、生涯を通じてこれらのがんにならない人もいます。

BRCA遺伝子の変異が子供に遺伝する確率は、それぞれの子どもにおいて50%(2分の1)です

遺伝子が親から子へ引き継がれる組みあわせ
遺伝子が親から子へ引き継がれる組みあわせ

山内英子 編. 実践!遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブック. メディカ出版, p36-37, 2017.

乳がんの罹患リスク4)

下のグラフはBRCA遺伝子に変異がない一般の人と、BRCA遺伝子に変異がある人の乳がんと卵巣がんの罹患リスクを比較したものです。BRCA遺伝子に変異がある人では、乳がん、卵巣がんともに、罹患リスクが高くなることが示されています。

乳がんと卵巣がんの罹患リスクの比較
乳がんと卵巣がんの罹患リスクの比較

中村清吾. 遺伝性乳がん・卵巣がんの基礎と臨床. 篠原出版新社, p4, 2012.

乳がんが疑われる場合とは

どのような場合にHBOCが疑われるのでしょうか。次の「かんたんチェック」で確認してみましょう。

かんたんチェック

日本HBOCコンソーシアム かんたんチェック(2018年9月時点)

  1. 日本HBOC コンソーシアム広報委員会 編. 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3). p6, 2015.
  2. 原野謙一. 腫瘍内科 2018; 22: 286-289.
  3. 山内英子 編. 実践!遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブック. メディカ出版, p20-21, 32-33, 36-37, 2017.
  4. 中村清吾. 遺伝性乳がん・卵巣がんの基礎と臨床. 篠原出版新社, p4, 2012.