救援療法

初回治療で十分な効果が得られなかった場合(難治性)やがんが再発した場合に行われる治療を「救援療法」といいます。

●化学療法(抗がん剤による治療)

救援療法では多くの場合、初回治療とは異なる抗がん剤を組み合わせた化学療法が行われます。従来の抗がん剤による化学療法は、細胞のDNAに直接作用したり細胞分裂のしくみを阻害することで、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。

<副作用>
大量の抗がん剤を投与することが多いため、治療開始から治療後数ヵ月にわたって、さまざまな副作用が起こります。薬剤によって違いはあるものの、アレルギー反応、吐き気・嘔吐、倦怠感、脱毛や血液に対する副作用が多くの患者さんであらわれます。初回治療とは異なる薬剤を使用するため、初回の化学療法とは異なる副作用があらわれることもあります。

●分子標的治療

がん細胞の増殖に関わる分子を標的に狙い撃ちする作用をもつ「分子標的治療薬」を用いた薬物療法です。従来の抗がん剤による化学療法と組み合わせて使用します。

<副作用>
分子標的治療薬はがん細胞に特徴的な分子だけに作用する特性があるため、従来の抗がん剤に比べて副作用が少ないといわれています。しかし、薬剤が作用する分子は正常細胞にも存在する場合があるため、神経障害、感染症、血液に対する副作用、アレルギー反応、皮膚粘膜障害など特有の副作用があらわれることもあります。

従来の抗がん剤と分子標的治療

●がん免疫療法

新しいがんの薬物療法のひとつとして、「免疫チェックポイント阻害薬」を用いたがん免疫療法が注目され、実際の治療で用いられるようになっています。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫細胞(T細胞)にかけているブレーキを解除することで免疫細胞の攻撃力を復活させ、再びがんを攻撃させる新しい薬剤です。いままでの薬物療法ががん細胞を直接攻撃する作用をもつのに対して、免疫チェックポイント阻害薬は、体の免疫機能を高めることによってがんを攻撃します。

がんによる免疫機能の悪用

【がんによる免疫機能の悪用】
がん細胞表面にあるPD-L1という物質がT細胞表面のPD-1と結合することにより、がん細胞への攻撃にブレーキをかけるシグナルが発信されます。

免疫チェックポイント阻害薬のはたらき

【免疫チェックポイント阻害薬のはたらき】
免疫チェックポイント阻害薬はPD-1とPD-L1の結合を阻害することによって、がん細胞からT細胞に送られているシグナルを遮断します。その結果、T細胞のブレーキは解除され、がん細胞への攻撃を再開します。

 

<副作用>
免疫チェックポイント阻害薬ではがん細胞によって抑えられていた免疫力を復活させるため、免疫がはたらき過ぎることによる副作用があらわれる可能性があります。

●造血幹細胞移植

原則65歳以下の患者さんで、救援化学療法の効果が期待される場合に検討されます。
造血幹細胞移植とは、大量の抗がん剤投与や全身への放射線照射を行うことで造血幹細胞をがん細胞とともにすべて死滅させたのち、あらかじめ採取・保存しておいた患者さん自身または他人や血縁者(ドナー)の造血幹細胞を点滴で戻す(移植する)治療です。いったん骨髄機能は破壊されますが、移植された造血幹細胞が骨髄で増えて骨髄機能が回復するため、やがて正常な血液をつくれるようになります。強い副作用が伴うことから、年齢や全身状態などから治療に耐えられるか、治療による効果が見込まれるかなど十分検討したうえで、造血幹細胞移植の実施が決定されます。

  • 自家(じか)造血幹細胞移植
    造血幹細胞移植のうち、患者さん自身の造血幹細胞を戻す治療です。再発・難治性のホジキンリンパ腫の治療で一般的に選択される方法です。
  • 同種(どうしゅ)造血幹細胞移植
    白血球の型が一致した他人や血縁者(ドナー)の造血幹細胞を移植する治療です。急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群や一部の非ホジキンリンパ腫などの治療で主に選択される方法です。

 

<副作用>
大量の抗がん剤や放射線照射により、さまざまな副作用があらわれる可能性があります。吐き気・嘔吐などの消化管症状、間質性肺疾患、脱毛、不妊、感染症、貧血・出血、細い血管が詰まることによる消化管や肝臓、腎臓などの重い臓器障害があらわれることもあります。同種造血幹細胞移植では、他人の造血幹細胞が患者さんの体を攻撃する免疫反応や、他人の造血幹細胞に対する拒絶反応が起こることがあります。

造血幹細胞移植
造血幹細胞移植

●生活の質(QOL)を大切にした治療

いくつかのがんの治療法を行っても効果が得られなかった場合、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を維持しながら病気とよりよく付き合っていくことを目指した治療を行っていきます。
近年、QOLの改善を目的として、「緩和ケア」という考えが浸透しています。緩和ケアとは、重い病を抱える患者さんやその家族一人ひとりの心と体の痛み・つらさを和らげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケアのことです。痛み、吐き気、食欲不振、だるさなど身体の症状だけでなく、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、その人らしい生活を送ることができるように、医学的な側面に限らない幅広いケアを行います。「緩和ケア」の考え方を早い時期から取り入れていくことで、患者さんと家族の療養生活の質をよりよいものにしていくことができます。