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治療後の生活をよりよく過ごすために

手術後のリハビリテーション*1


乳がんの手術後は、リンパ液が腕や手に溜まって、腕がむくんだり、しびれることがあります(リンパ浮腫)。手術後のリンパ浮腫や腕/肩の動かしにくさを予防するために、リハビリテーションを行いましょう。手術翌日から行いますが、退院後も自宅で続けてください。

手術翌日から

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指を1本ずつ折り曲げたり、じゃんけんしたりする。


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ベッドに寝たまま、肘を曲げ伸ばしする。肩関節は動かさない。

手術後1週間まで

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肘を伸ばし、手首と肘を内側と外側に回す。

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肘を90度に曲げ、肘から先を内側と外側に回す。

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肘を伸ばして腕を下ろし、健康なほうの手で肘を支える。手術したほうの腕で前後左右に力を入れる。

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上体をかがめ、腕を自然に下ろし、振り子のように回す。

手術後1週間~10日

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腕を前方や側方に上げる。最初のうちは健康なほうの手で支えてもよい。

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手術したほうの腕を上げて、反対側の肩をつかむ。

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前方の壁に向かい、両腕をできるだけ高く上げる。

木下貴之, 田村研治 監. 国立がん研究センターの乳がんの本. 小学館, p97-98, 2018.を参考に作成

*1. 木下貴之, 田村研治 監. 国立がん研究センターの乳がんの本. 小学館, p96-98, 2018

リンパ浮腫を防ぐために*2,3


乳がんの手術後は、「リンパ浮腫」に注意することが大切です。特にリンパ節を切除したり、放射線療法を受けた側の腕は、傷つきやすく、細菌に感染しやすくなっています。スキンケアを心がけ、傷をつくらないように注意しましょう。

日常生活で気をつけること

・手術した側の腕の皮膚を傷つけない
・スキンケア(清潔/保湿)を心がける
・腕に負担がかかる運動は避ける
・ケガや虫さされに注意する
・手術をした側の腕には、鍼や灸、強い力でのマッサージは避ける

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*2. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p93-94, 2023.
*3. 佐伯俊昭 監. 手術後・退院後の安心シリーズ イラストでわかる乳がん. 法研, p112-113, 2017.

術後の経過観察*4


手術後は、年1回のマンモグラフィと、定期的な医師の診察を受けることが一般的です。これらの検査で何か異常のあった場合や気になる自覚症状があった場合に、さらなる検査を追加していくことがあります。これらの病院による検査に加え、手術していない側の乳房の状態をセルフチェックすることも大切です。毎月1回、日を決めて、自己検診を続けてください。

検査の推奨頻度*4

初期治療終了後
・1~3年目  …… 3~6ヵ月ごと
・4~5年目  …… 6~12ヵ月ごと
・5年目以降  …… 年1回

国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 療養」(2023年11月時点)より作成

※遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC) と診断された方やその可能性が高い患者さんに対しては、定期検査の内容や頻度は異なることがあります。詳しいことは主治医にご確認ください。

*4. 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 療養」(2023年11月時点)

仕事や日常生活について


仕事について*5,6

乳がんと診断されたとき、「このまま仕事を続けられるか」と心配になる方は多いと思います。しかし、少しでも仕事を続けたい気持ちがあるなら、すぐに退職を考えるのではなく、できるだけ仕事と治療を両立できる方法を探すことをお勧めします。最近は、治療を受けながら仕事を続ける人も増えています。まずは、お近くのがん相談支援センターなどで聞いてみるなど、必要な情報を収集することから始めてみましょう。

・一般社団法人 CSRプロジェクト
がんを体験した相談員(社会保険労務士、キャリアコンサルタントなど)が中心となり、あなたの「働く」をサポートします。
一般社団法人 CSRプロジェクト
・就労セカンドオピニオン ~電話で相談・ほっとコール~
患者さんと家族の方を対象とした就労相談プログラムです。社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ソーシャルワーカーなどが電話にて対応します。
・サバイバーシップ・ラウンジ(オンラインサロン)
治療と仕事の両立、生活の悩みや不安について、ファシリテーターを中心に話し合い、解決のヒントや似たような経験や情報を提供しあうオンラインプログラムです。

・WorkCAN’s エピソードバンク
職場でのカミングアウト、業務量の調整の工夫、周囲とのコミュニケーションなど、働く世代でがんと診断された方の仕事や生活の知恵を共有し、患者支援や研究に活かすことを目指したサイトです。
WorkCAN’s エピソードバンク

*5. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p44-47, 2023.
*6. 国立がん研究センター がん対策情報センター 編. がんと仕事のQ&A 第3版, p8, 2019.

日常生活について*7,8

手術後の日常生活では、医師から特に指示がない限り、生活上の制限はありません。旅行や家事、仕事なども、自分の体調にあわせて、無理のない程度に始めてもよいでしょう。
ただし、リンパ節郭清術を受けた場合は、リンパ浮腫を防ぐために手術後は重い荷物は持たないようにするなど、腕に過度な負担がかからないように注意することが必要です。また、肥満は、乳がんの再発リスクを高める要因になります。適切なカロリー摂取と適度な運動を心がけ、肥満にならないように注意してください。

*7. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p93-94, 2023.
*8. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p197-199, 2023.

妊娠/出産について*9,10


乳がんは、妊娠が可能な閉経前の女性にも多くみられるがんの1つです。将来、妊娠を希望している方も少なくないかもしれません。
治療後の妊娠/出産によって乳がんの進行や再発の危険性が高まることはないといわれています。また、治療後の妊娠で胎児に異常や奇形がみられる頻度は、一般女性の妊娠/出産と変わらないといわれていますが、予定している治療のなかには、卵巣機能への影響によって妊娠しにくくなることがあります。
将来の妊娠/出産を希望する場合は、治療が始まる前に、主治医にそのことを伝えてください。いつから妊娠が可能かなど、気になることがあったら、ためらわずに相談しましょう。最近は、がん患者さんのための生殖医療も進歩しています。

詳しい情報は、下記のサイトからも入手できます。

小児・若年がん長期生存者に対する妊孕性のエビデンスと生殖ネットワーク構築に関する研究

小児・若年がんと妊娠

乳がん患者さん向けの小冊子も入手できます[4.1MB]

乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ小冊子の表紙イラスト

*9. 日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版, 金原出版, p191-194, 2023.
*10. 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 療養」(2023年11月時点)

監修:新倉 直樹 先生
東海大学 医学部 外科学系 乳腺・腫瘍科学 教授


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