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卵巣がんとは

卵巣がんとは1-3)

卵巣がんは、卵巣に発生する悪性腫瘍です。
卵巣に発生する腫瘍は多種多様で、「悪性腫瘍」のほかに、「良性腫瘍」や、悪性と良性の中間的な性格をもつ「境界悪性(きょうかいあくせい)腫瘍」があります。また、腫瘍が発生する組織(卵巣の表面をおおっている表層上皮、卵子のもとになる胚細胞(はいさいぼう)、性ホルモンを産生する性索間質(せいさくかんしつ))によって大きく3つのグループに分けることができ、このうち「上皮性腫瘍」が最も多く、一般に「卵巣がん」というときは上皮性の悪性腫瘍のことを指します。

卵巣がんの発生部位

卵巣がんの発生部位

日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p146, p149, 2023.

上皮性の悪性腫瘍(卵巣がん)はさらに、主に「漿液性(しょうえきせい)がん」、「明細胞(めいさいぼう)がん」、「類内膜(るいないまく)がん」、「粘液性(ねんえきせい)がん」の4つの組織型に分けられ、それぞれ性質が異なります1-3)

上皮性卵巣がんの組織型と特徴1,4)

上皮性卵巣がんの組織型と特徴をまとめた表

1.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p146-149, 2023.
2.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについて」(2026年4月7日時点)
3.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療」(2026年4月7日時点)
4.宇津木久仁子 監. 子宮がん・卵巣がん より良い選択をするための完全ガイド. 講談社, p36, 2017.

症状5-7)

初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、見つかったときには進行していることが多いがんです。
通常、おなかが張る、最近太ってウエストがきつくなったという症状がはじめにあらわれます。また、トイレが近い(頻尿)、腹痛、食欲低下、月経不順などの症状があらわれることがあります。

卵巣がんの症状をまとめたイラスト
卵巣がんの症状をまとめたイラスト
卵巣がんの症状をまとめたイラスト

5.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p150, 2023.
6.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについて」(2026年4月7日時点)
7.日本産科婦人科学会・日本病理学会 編. 卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版. 金原出版, p12, 2023.

発生の原因8,9)

卵巣がんは、いろいろな遺伝子変異の積み重ねで発生しますが、直接の原因は不明です。
排卵する際に卵巣表面にできる傷と関連すると考えられており、出産経験がない人、初経の早い人や閉経の遅い人など排卵回数が多い人ほど発症しやすいと考えられています。
また、卵巣がんの11.8%に、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の原因遺伝子とされているBRCA1またはBRCA2の変異がみられます。そのため、親・姉妹・従姉妹に乳がんや卵巣がんの人がいる場合は、注意が必要です。
卵巣がんのリスクには、遺伝的要因以外にも、骨盤内の慢性的な炎症、子宮内膜症といった婦人科の病気、肥満や食事内容などの生活習慣も関係があると考えられています。

8.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p146-150, p233-236, 2023.
9.日本産科婦人科学会・日本病理学会 編. 卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版. 金原出版, p12, 2023.

患者数10,11)

卵巣がんと診断される患者さんの数は年々増加し、2023年に国内で卵巣がんと診断された患者さんは12,926人でした。
卵巣がんの多くは閉経後に発症します。2023年に新たに卵巣がんと診断された患者さんの年齢階級別罹患率をみると、50代に最も多いことが分かります。

卵巣がん罹患数と死亡数の年次推移(全国推計値,女性,全年齢)

卵巣がん罹患数と死亡数を表したグラフ。卵巣がんと診断される患者さんの数は年々増加し、2023年に国内で卵巣がんと診断された患者さんは12,926人でした。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報」卵巣(2026年4月7日時点)より作成

卵巣がんの年齢階級別罹患率(卵巣 2023年)

卵巣がんの年齢階級別罹患率を表したグラフ。50代に最も多いことが分かります。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報」卵巣(2026年4月7日時点)より作成

10.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p150, 2023.
11.国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報」卵巣(2026年4月7日時点)

監修:梶山 広明 先生
名古屋大学 医学部 産婦人科 教授