転移と再発
転移と再発とは1-5)
再発とは、治療によって見かけ上なくなったことが確認されたがんが、再びあらわれることです。原発巣のあった場所やその近くに、がんが再びあらわれることだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます。
卵巣がんは、腹膜、大網などに播種(はしゅ;体の中にがん細胞がこぼれ、種をまいたようにバラバラと広がること)したり、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに浸潤(しんじゅん;がんが周囲に染み出るように広がっていくこと)したりすることがあります。また、お腹の大血管の周りにある後腹膜リンパ節に転移したり、肺や肝臓、脳や骨などに遠隔転移したりすることもあります。
卵巣がんの転移・再発が起こりやすい場所
1.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療」(2026年4月7日時点)
2.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについて」(2026年4月7日時点)
3.日本産科婦人科学会・日本病理学会 編. 卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版. 金原出版, p12-13, 2023.
4.国立がん研究センター がん情報サービス「用語集」播種(2026年4月7日時点)
5.国立がん研究センター がん情報サービス「用語集」浸潤(2026年4月7日時点)
再発時の症状6,7)
卵巣がんの再発は、骨盤内や腹腔内に起こることが多く、腹水といってお腹に過剰に水がたまったり、腸閉塞(イレウス)を起こしたりすることが知られています。その自覚症状である腹痛やおう吐は重要な兆候です。
再発した時の主な自覚症状
6.日本産科婦人科学会・日本病理学会 編. 卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版. 金原出版, p12-13, 2023.
7.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p185-187, 2023.
再発時の治療
再発時の治療方針8,9)
卵巣がんが再発した場合は、薬物療法が主な治療法になります。治療方針は、前回の化学療法(プラチナ製剤による抗がん剤治療)が終わってから再発までの期間によって異なります。
再発卵巣がんの治療8,9)
再発までの期間が6ヵ月以上の場合の治療8,9)
再発までの期間が6ヵ月以上の場合、プラチナ製剤を含む複数の抗がん剤を使った治療を中心に検討します。また、分子標的薬を追加して治療することもあります。
そのほかの治療法として、手術(腫瘍減量術)や放射線治療があります。手術は病巣を完全に取り切れると考えられる場合に限り、実施が検討されます。また、痛みなどの症状を和らげるために局所的な放射線治療を行うことがあります。
再発までの期間が6ヵ月未満の場合の治療
再発までの期間が6ヵ月未満の場合、プラチナ製剤以外の抗がん剤による治療を検討します。また、分子標的薬を追加して治療することもあります8,9)。
そのほかの治療法として、痛みなどの症状を和らげるために局所的な放射線治療を行うことがあります8,9)。
最近では、化学療法と免疫療法、血管新生阻害薬など、異なる作用の薬を組み合わせる併用療法が行われることもあります。また、がん細胞を標的とする抗体に抗がん剤を結合させた、抗体薬物複合体(ADC)という薬が使用されることもあります。
8.日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版. 金原出版, p188-192, 2023.
9.国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療」(2026年4月7日時点)
監修:梶山 広明 先生
名古屋大学 医学部 産婦人科 教授
がんについて知る
がんについて、どのがん種にも共通して役立つ情報を提供しています。