治療内容
メラノーマの手術
手術療法
リンパ節以外の臓器への転移がないⅠ~Ⅲ期では、手術でがんを切除する治療が基本となります。
原発巣*1を切除する際は、再発の可能性を減らすために、病巣の周りの正常な組織を含めて広めに取り除きます。
また、センチネルリンパ節に転移がある場合は、周囲のリンパ節とその周りの組織を切除する(リンパ節郭清*2)か検討します。
*1 原発巣:がんが最初に発生した部位にある病巣
*2 「皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版メラノーマ診療ガイドライン2019」では、センチネルリンパ節転移陽性例にリンパ節郭清術を実施しないことが提案されています。
考慮される切除範囲 ※
原発巣の状態
切除の際に原発巣の縁から離す距離
表皮内にとどまっている
3~5mm
がんの厚さが 1mm以下
1cm
がんの厚さが 1mmを超え 2mm以下
1~2cm
がんの厚さが 2mmを超える
2cm
※がんの位置や美容面、術後合併症の可能性など、個々の患者さんの状況により切除範囲は変更されることがあります。
術後の薬物療法
メラノーマでは、手術後に再発がみられることがあります。術後補助療法は、手術後の再発を予防するために行われる治療です。
免疫チェックポイント阻害薬、分子標的療法、インターフェロン類による治療があります。
進行期メラノーマの治療
がんが所属リンパ節*3より遠くの皮膚、皮下組織、リンパ節や内臓に転移した場合(Ⅳ期)は、薬物療法が中心となります。
免疫チェックポイント阻害薬による治療
がん細胞は増殖するために、人に本来備わっている免疫機能(がん細胞などを攻撃する機能)にブレーキをかけます。免疫チェックポイント阻害薬は、このがん細胞によるブレーキを解除し、本来の免疫機能を活性化させます。免疫チェックポイント阻害薬そのものが、直接的にがん細胞を攻撃するのではなく、免疫機能を活性化することで間接的にがん細胞を攻撃します。
分子標的療法
がんの発生や増殖に関わる分子を狙い撃ちする治療です。がん遺伝子やがんのタンパク質などを標的としてその働きを阻害し、がん細胞の増殖を抑えます。
化学療法(抗がん剤による治療)
抗がん剤を使ってがん細胞を攻撃する治療です。がん細胞が遺伝子を合成したり細胞分裂したりするしくみを阻害することで、がん細胞の増殖を阻止します。
放射線治療
高エネルギーのX線や電子線を照射し、がん細胞を攻撃する治療です。メラノーマでは、主に脳や脊髄、骨への転移に対して、症状や痛みを和らげる目的で行われます。
*3 所属リンパ節:がんが最初に転移すると予想される部位のリンパ節群(例:右第1趾にメラノーマができた場合は、右の膝、右のそけい(大腿のつけ根)が所属リンパ節の位置になります)
監修:宇原 久 先生
札幌医科大学医学部皮膚科学講座 教授
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