治療後の生活
腎盂・尿管がんの予後1, 2)
腎盂・尿管がんは、治療後に膀胱で再発しやすいという特徴があります。筋層を含む周辺組織やリンパ節へがんが広がっていないTa~T1の「筋層非浸潤性がん」は再発の可能性は高いものの、5年生存率は約92~98%と良好です。
一方、がんが筋層に入りこんでいる「筋層浸潤性がん」や、腎盂・尿管周辺の組織やリンパ節へ転移している「転移性がん」の場合、治療後の経過に大きく影響し、T2、T3、T4それぞれの5年生存率は、75~84%、54~56%、0~12%といわれています。
予後とは・・・
病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことです。
「予後がよい」とは、「これから病気がよくなる可能性が高い」、
「予後が悪い」とは、「これから病気が悪くなる可能性が高い」ということになります。
5年生存率とは・・・
治療開始から5年後生存している人の割合のことで、病期や治療法によって異なります。
1)斎藤 誠一 他. 日本臨牀 2010; 68: 379-383.
2)日本泌尿器科学会 編. 腎盂・尿管癌診療ガイドライン 2014年版. メディカルレビュー社, p30-38, 2014.
経過観察と検査
腎盂・尿管がんは再発や転移しやすいことから、手術後の定期的な検査が重要で、下記のスケジュールで検査を受けることが推奨されています。
0期~Ⅰ期(筋層非浸潤性腎盂・尿管がん)
手術後のCT画像検査は毎年行う。
また、膀胱鏡・尿細胞診は、手術後2年間は3ヵ月ごと、2~5年間は半年ごと、それ以降は毎年検査を行う。
Ⅱ期~Ⅳ期(筋層浸潤性腎盂・尿管がん)
手術後のCT画像検査は、最初の2年は半年ごと、それ以降は毎年行う。
また、膀胱鏡・尿細胞診は、手術後2年間は3ヵ月ごと、2~5年間は半年ごと、それ以降は毎年検査を行う。
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術後の症状
腎臓の機能を維持するため、暴飲暴食は避け、消化がよい食事をし、規則正しく生活することが大切です。また、高血圧や糖尿病など、腎臓の機能を悪化させる持病がある場合は、病気そのものを悪化させないように注意しましょう。
監修:荒井 陽一 先生
宮城県立がんセンター 総長
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