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治療後の生活

腎盂・尿管がんの予後1, 2)


腎盂・尿管がんは、治療後に膀胱で再発しやすいという特徴があります。筋層を含む周辺組織やリンパ節へがんが広がっていないTa~1の「筋層非浸潤性がん」は再発の可能性は高いものの、病期がⅠ期の人の5年生存率は77.7%といわれています。
一方、がんが筋層に入りこんでいる「筋層浸潤性がん」の場合や、腎盂・尿管周辺の組織やリンパ節へ転移している場合、治療後の経過に大きく影響し、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期のそれぞれの5年生存率は66.2%、51.8%、12.1%といわれています。

予後とは・・・
病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことです。
「予後がよい」とは、「これから病気がよくなる可能性が高い」、
「予後が悪い」とは、「これから病気が悪くなる可能性が高い」ということです。

5年生存率(ネット・サバイバル)とは・・・
治療開始から5年後生存している人の割合のことで、病期や治療法によって異なります。
純粋に「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する方法です。この方法は国際的にも広く採用されている方法です。2010年10年生存率・2014-2015年 5年生存率から相対生存率に代わりネット・サバイバルを採用しています。

1)国立がん研究センター. がん対策情報センター, 院内がん登録 2014-2015年 5年生存率集計 報告書
2)日本泌尿器科学会 編. 腎盂・尿管癌診療ガイドライン 2023年版. 医学図書出版, p74, 2023.

経過観察と検査


腎盂・尿管がんは再発や転移しやすいことから、手術後の定期的な検査が重要とされています。腎温存手術後は下記のスケジュールで検査を受けることが推奨されています。

低リスク(リスク因子がない場合)

膀胱鏡検査とCT画像検査を手術の3ヵ月後、6ヵ月後、以降は年1回で5年間実施し、尿管鏡検査は3ヵ月後に1度実施することが推奨されています。

高リスク(リスク因子がある場合)

膀胱鏡検査、尿細胞診、CT画像検査(尿路、胸部)を手術の3ヵ月後、6ヵ月後、以降は年1回で継続して実施し、尿管鏡検査と分腎尿細胞診は3ヵ月後と6ヵ月後に実施することが推奨されています。

術後の症状


腎臓の機能を維持するため、暴飲暴食は避け、消化がよい食事をし、規則正しく生活することが大切です。また、高血圧や糖尿病など、腎臓の機能を悪化させる持病がある場合は、病気そのものを悪化させないように注意しましょう。

監修:小林  先生
京都大学医学研究科 泌尿器科学教室 教授


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