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肝細胞がんとは

肝臓とは


肝臓の構造1)

肝臓は日本人成人男性での重量が約1450g、女性で約1240g程度の体内で最大の臓器です。腹部の右上にあり、胃、腸、胆のう、膵臓の近くに位置しています。

肝臓の位置と構造

肝臓のはたらき1)

肝臓は、胃腸から吸収された栄養分を門脈から取り込んで体に必要な成分に変える、物質代謝の中枢として働いています。また、胆管を通して胆汁を腸に送り出し、体内の不要な物質を解毒し排泄する排泄器としても働きます。

1)坂井建雄. 標準解剖学 第1版. 医学書院. p45-125, 2017

肝細胞がんとは


肝がんは、肝臓の細胞ががん化してできた「原発性肝がん」と別の臓器から転移した「転移性肝がん」に大別されます2)
「原発性肝がん」には、肝細胞ががんになる「肝細胞がん」と、胆汁を十二指腸に流す管(胆管)の細胞ががんになる「肝内胆管がん」などがあります3)。日本では「原発性肝がん」の90%以上を「肝細胞がん」が占めます4)

原発性肝がんの内訳
(2014年 全国原発性肝癌追跡調査 n=20853)

原発性肝がんの内訳を示すグラフ。日本では90%以上を「肝細胞がん」が占めます。

飯島尋子 他. 肝臓, 2023; 64(8):p333-381より作成

2)がん研有明病院 がんに関する情報「肝臓がん」(2024年2月時点)
3)国立がん研究センター がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん)について」(2024年2月時点)
4)飯島尋子 他. 肝臓, 2023; 64(8):p333-381.

症状5)


肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝細胞がんであっても多くの場合初期には自覚症状がありません。肝細胞がんが進行した場合は、お腹の右上の肋骨辺りに押されるような痛み(右季肋部痛)やみぞおちの痛みなどを訴える人もいます。また、肝細胞がんはB型、C型肝炎や肝硬変などが原因で起こることが多いため、疲れを感じたり、黄疸などがみられたりすることもあります。

肝細胞癌の症状のイラスト1

おなかが張る、しこりを感じる

肝細胞癌の症状のイラスト2

疲れを感じる

5)国立がん研究センター内科レジデント 編. がん診療レジデントマニュアル 第9版, p174, 2022

発生の要因6, 7)


肝細胞がんの発生する主な要因は、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの持続感染(長期間、体内にウイルスが留まる感染)からの肝硬変です。

最近では、肝炎ウイルス感染を伴わない肝細胞がんが増加してきているという報告もあり、生活習慣病に関連する非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)*、アルコールを原因とする脂肪性肝疾患などによる肝臓の慢性的な炎症や肝硬変も、肝細胞がんの発生に影響しているとされています。
そのほか、高齢、糖尿病や肥満などがリスク因子として知られています。

*欧州肝臓学会(EASL)による英語病名の変更に伴い、 日本語病名の変更が検討されています(一般社団法人日本肝臓学会、一般財団法人日本消化器病学会サイトより)。

ウイルス肝炎から肝細胞がんへの進行

ウイルス肝炎から肝細胞がんへの進行のイメージ

日本肝臓学会 編. 慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド, p11, 2019より作成

6)日本肝臓学会 編. 肝がん白書, p12-14, 2022
7)国立がん研究センター がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん)について」(2024年2月時点)

患者数


患者数の推移8, 9)

肝細胞がんおよび肝内胆管がんと新たに診断される人数は、男性に多い傾向があります。近年、男女ともに減少傾向にありますが、これは新しい抗C型肝炎ウイルス薬の登場などにより、C型肝炎を原因とする肝硬変が減少しているためと考えられます。

肝がん:患者数の推移(全国推計値 1975~2015年)

肝がんの患者数の推移を表したグラフ。肝細胞がんおよび肝内胆管がんと新たに診断される人数は、男性に多い傾向があります。近年、男女ともに減少傾向にあります。

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国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(2024年2月時点)より作成

年代別の患者数8, 10)

男性では45歳、女性では55歳前後から患者増加が目立っており、男性では70歳代後半から80歳代前半でピークを迎えます。これは生まれた年で言うと1930年代前半に対応しており、C型肝炎ウイルスに感染している割合が多い世代と一致しています。

肝がん:年代別の患者数(全国推計値 2015年)

肝がんの年代別の患者数を表したグラフ。男性では45歳、女性では55歳前後から患者増加が目立っており、男性では70歳代後半から80歳代前半でピークを迎えます。

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国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(2024年2月時点)より作成

8)国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(2024年2月時点)
9)日本肝臓学会 編. 肝がん白書. p12-14, 2022
10)公益財団法人 がん研究振興財団 編 がんの統計2023. p47, 2023

監修:金子 周一先生
金沢大学大学院 情報医学開発講座 特任教授


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