膵がん
膵がんとは
膵がんの原因
なぜ膵がんになるのか、その原因はまだはっきりわかっていません。ただし、膵がんの発症に関係する要因(発症リスク)については、いくつか明らかになっています。
遺伝性膵がん症候群や膵臓に病気がある人では、膵がんの発症リスクが高まります。ご家族に膵がんの患者さんが2人以上いる人も、膵がんになるリスクが高いことが知られています。糖尿病や肥満、喫煙、大量の飲酒、職業などの関係も指摘されています。
膵がんの主な発症リスク
遺伝性膵がん症候群
遺伝性膵炎、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、
ポイツ・ジェガース症候群、家族性大腸腺腫ポリポーシス、
遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)、
家族性異形多発母斑黒色腫症候群 など
膵疾患
慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵のう胞
家族歴
膵がんの家族歴(家族性膵がん)
膵がん以外の家族歴(胃がん・卵巣がん・大腸がん・肝がん・
乳がん・肺がん など)
生活習慣病
糖尿病、肥満
嗜好
喫煙、大量飲酒
職業ほか
塩素化炭化水素を仕事で扱うこと(職業性曝露) など
日本膵臓学会編:膵癌診療ガイドライン2019年版. p64-66, 金原出版, 2019 より作成
膵がんと遺伝の関係1-4)
- 親子や兄弟姉妹に2人以上膵がんの患者さんがいる家系に発症する膵がんを「家族性膵がん」といいます1)。家族性膵がんの家系の人では、一般の人より膵がんになるリスクが高いことが知られています。また特定の遺伝子に病的な変異がある「遺伝性膵がん症候群」の人も、膵がんの発症リスクが高まります。遺伝性膵がん症候群の割合は、膵がん全体の約7%と考えられています2)。最近は研究が進み、これらの疾患にかかわる原因遺伝子が特定されるようになってきました1)。
遺伝性膵がん症候群の原因遺伝子1)
PRSS1、BRCA1、BRCA2、STK11、 CDKN2A、hMSH2、hMLH1、APC など
- たとえば、遺伝性膵がん症候群の1つである「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」では、BRCA1(ビーアールシーエーワン)、BRCA2(ビーアールシーエーツー)と呼ばれる遺伝子に病的な変異がみられます。BRCA遺伝子は、傷ついたDNAを正常に修復する働きがあるため、BRCA遺伝子の病的な変異があるとDNAの修復が難しくなり、乳がんや卵巣がん、膵がんなどにかかりやすくなると考えられています。
BRCA遺伝子に病的な変異がある人の割合は、遠隔転移のある膵がんの約6%との海外のデータがあります3)。
BRCA遺伝子に変異のある膵がんの割合

*海外での報告をもとに推定しています。日本では年間約4万人が膵がんと診断されています4)
- BRCA遺伝子を含む原因遺伝子の病的な変異は、親から子どもへと50%の確率で受け継がれます。
ただし、病的な変異を受け継いだ場合でも全員が必ずがんになるわけではなく、一生涯がんにならない人もいます。

- 日本膵臓学会編:患者・市民・医療者をつなぐ膵がん診療ガイドライン2019の解説, p13-15,35, 金原出版, 2020
- Takai E, et al. Ann Sug, 2020
- Golan T, et al. J Clin Oncol. 2020; 38: 1442-54
- がんの統計編集委員会編:がんの統計 2019年版, 公益財団法人 がん研究振興財団. 2020年3月

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