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膀胱がんとは

膀胱とは:「膀胱」はどんな役割をするの?


膀胱は袋状の臓器で、成人では300~500mLの尿をためておくことができます。
内側は「尿路上皮」という粘膜で覆われ、外側の膀胱壁は筋肉の層(筋層)と脂肪層でできています。
膀胱壁は膀胱内の尿の量によって伸び縮みし、それにあわせて「尿路上皮」も伸び縮みしています。

図 膀胱の構造

膀胱の構造

図 尿路上皮の収縮

尿路上皮の収縮

「腎臓」で作られた尿は「尿管」を通り、「膀胱」に一時的にたまります。その後、「尿道」を通って、体外へ排泄されます。

図 泌尿器

泌尿器

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特徴:「膀胱がん」はどんな病気?1, 2)


膀胱に発生するがんを「膀胱がん」といいます。
膀胱の内側は「尿路上皮」という粘膜で覆われ、膀胱がんの9割以上が「尿路上皮」ががん化した「尿路上皮がん」です。その他に、がん細胞の種類(組織型)が異なる「腺がん」「扁平上皮がん」などがあります。

一度、「尿路上皮」にがんが発生すると、「尿路上皮」が広がっている腎盂や尿管にもがんができやすいという特徴があります。たとえば、膀胱がんと同時に、腎盂や尿管にがんがみつかったり、将来的に腎盂や尿管にがんができる可能性があります。そのため、膀胱がんが見つかった場合は、あわせて腎盂や尿管を調べることがあります。

膀胱がんは、膀胱の尿管口付近の側面から背中側に発生しやすいといわれています。がんが進行すると、膀胱の壁(筋層)を越えて、周りの臓器にまで広がることもあります。

図 膀胱がんの発生

膀胱がんの発生

1)Boustead GB et al. BJU Int 2014; 113: 924-930
2)吉田修 監. インフォームドコンセントのための図説シリーズ 膀胱がん. 医薬ジャーナル社, p10-13, 2010.

がんの型と広がり:「膀胱がん」にはいくつか種類があるの?


膀胱がんには外見によって、「乳頭型」や「結節型」、「平坦型」、「潰瘍型」などの型に分類されます。

図 膀胱がんの形態の模式図

膀胱がんの形態の模式図

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日本泌尿器科学会, 日本病理学会 他.泌尿器科・病理・放射線科 腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約
2021年8月第2版.金原出版, p10-12, 2021.より改変

また、がんの広がり方もさまざまで、粘膜(尿路上皮)で広がっている状態、粘膜の下の筋肉の層(筋層)まで入り込んでいる状態、肺や肝臓、骨など他の臓器に転移している状態があります。

図 尿路上皮がんの進行の様子

尿路上皮がんの進行の様子

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Babaian RJ, et al. Urology 1980; 16: 142-144.
山本新吾. 泌尿器 Care&Cure Uro-Lo 2016; 21: 456-458.より作成

症状:「膀胱がん」の症状は?


膀胱がんの一般的な症状には、次のようなものがあります3)

尿に血が混じる
(血尿)

膀胱内のがんから出血することで起こる。

血尿

背中や腰が痛む
(腰背部痛)

がんや血の固まりが、尿管(腎臓から膀胱に尿をはこぶ管)をふさいでしまい、たまった尿が腎臓や尿管に圧力をかけるために起こる。

腰背部痛

おしっこが近い、回数が多い
(頻尿)


我慢できない尿意を突然感じる
(尿意切迫感)


排尿時の痛み
(排尿時痛)


下腹部の痛み
(下腹部痛)

排尿回数が1日に8回以上が頻尿とされている。
がんが膀胱を刺激することで尿意を感じる。
膀胱炎と似ているが、抗生物質を服用してもなかなか改善しない。

頻尿、尿意切迫感、排尿時痛、腹部痛

3)吉田修 監. インフォームドコンセントのための図説シリーズ 膀胱がん, 医薬ジャーナル社, p18-21, 2010.

原因:「膀胱がん」の原因は?


膀胱がんの原因として、以下との関連性が知られています。4, 5)

喫煙との関連

喫煙は、最も重要な危険因子とされています。喫煙者は非喫煙者と比べて、膀胱がんの発症リスクが2.04~3.47倍に増加するといわれています。

喫煙との関連

原因となる化学物質との関連

印刷業や製造業、研究などで原因物質(芳香族アミン類)を含む化学物質や染料を扱っている人は、膀胱がんのリスクが高くなります。

原因となる化学物質との関連

その他には、膀胱内の慢性炎症や、放射線治療時の膀胱への被曝、一部の抗がん剤、精神安定剤の長期投与によって、膀胱がんの発症率が高くなることが知られています。

4)日本泌尿器科学会 編. 膀胱癌診療ガイドライン 2019年版. 医学図書出版, p9-10, 2019.
5)山本新吾. 泌尿器 Care&Cure Uro-Lo 2016; 21: 456-458.

患者数:「膀胱がん」の患者はどのくらいいる?


日本における膀胱がんの罹患率(膀胱がんにかかる割合)は10万人あたり18.5人(2019年全国推計値)で6)、2019年の膀胱がんの推定罹患数は23,383人(男性:17,498人、女性:5,885人)と報告されています6)

図 主要ながんの罹患数

主要ながんの罹患数

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国立がん研究センターがん情報サービス 「がん統計」(全国がん登録)(2023年3月参照)より作図

膀胱がんの罹患率を年齢別にみると、男女とも60歳代から高くなり、40歳未満は低い傾向があります。また、男性のほうが女性より約4倍罹患率が高い傾向にあります7)

図 膀胱がん 年齢階級別罹患率

膀胱がん 年齢階級別罹患率

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国立がん研究センターがん情報サービス 「がん統計」(全国がん登録)(2023年3月参照)より作図

6)国立がん研究センターがん情報サービス 「がん統計」(全国がん登録)(2023年3月参照)
7)日本泌尿器科学会 編. 膀胱癌診療ガイドライン 2019年版. 医学図書出版, p8, 2019.

監修:荒井 陽一 先生
宮城県立がんセンター 総長


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